ラジオ放送のお知らせ

当財団の理事がラジオ放送にて食道がんについて講演させていただきます。

ラジオ日本(放送日時)

令和6年11月7日(1回目)、11月14日(2回目)AM11:05~

テーマ『食道がん・早期発見と予防が大事』

みんなの健康ラジオ第一回(11/7)

食道は、のど(咽頭)と胃の間をつなぐ長さ25cmくらい、太さ2~3㎝、厚さ4㎜くらいの管状の臓器です。食道は身体の中心部にあり気管、心臓、肺、大動脈、背骨に囲まれており周囲にはリンパ節があります。

食道は、口から食べた食物を胃に送る働きをしていて壁の筋肉が動いて食べ物を胃に送り込みます。消化機能はありません。

食道の壁は内側から粘膜(粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板)、粘膜下層、固有筋層、外膜に分かれています。

食道がんは性別では男性が多く(約5.4倍)、年齢は60~70歳台が多くなっています(約70%)。がんは食道の粘膜表面から発生し、食道の真ん中に約半数、下1/3に約3割ができます。食道の粘膜は扁平上皮でできているので約9割が扁平上皮がんです。扁平上皮がんは喫煙・飲酒と強い関連があります。欧米に多く見られる胃食道逆流症によるバレット腺がんの頻度は少ないですが最近徐々に増加してきています。

食道がんは初期にはほとんど症状がなく、がんが進行するにつれて周囲の臓器にすぐに入り込んでいき(浸潤、転移と呼びます)、胸の違和感(飲み込むときにチクチク痛む、しみるなど)、飲食物のつかえ感、胸や背中の痛み、嗄声、咳などが生じるようになります。

がんの深さにより軟膜下層までの表在がんと固有筋層より深い進行がんに分けられ、特に食道粘膜にとどまる浅いがんは早期がんと呼ばれます。粘膜固有層にとどまればリンパ節転移がほとんどないため体への負担が少ない内視鏡による切除の良い適応になります。

近年の内視鏡検査は技術の進歩により病変のわずかな色調や凹凸の変化をとらえられるようになり早期がんの発見が数多くできるようになりました。

したがって特に喫煙・飲酒歴のある60歳以上の男性には上部内視鏡検査による検診が重要と考えます。

現在特に食道がんに対してのがん検診はありませんが、胃がん検診、上部内視鏡検査の際に食道もよく観察してもらうように事前に伝えることが大切です。

みんなの健康ラジオ第二回(11/14)

日本人を対象にした研究で、がん全体の予防には禁煙、節度ある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体重の維持が有効であると報告されています。

  • 喫煙

たばこは肺癌のみならず食道がん、膵がん、膀胱がん,頭頚部がんなど多くのがんと関連があり禁煙することは極めて重要です。おひとりでは難しくても禁煙外来を行っている医療機関を受診されれば、保険診療にて禁煙治療を受けられます。

  • 飲酒

飲酒により体内にて代謝されて生じるアセトアルデヒドには発がん性があります。特に遺伝的に肝臓での分解酵素が少ない方、飲むとすぐに顔が赤くなるフラッシャーと呼ばれる方が飲酒を続けると食道がんの発生頻度が高まるといわれています。

飲酒はエタノール換算1日当たり23g程度、目安としてビール500ml、日本酒1合、焼酎原液で100ml、ウイスキー・ブランデーダブル1杯、ワイングラス2杯までの量に抑えましょう。休肝日も週に2日以上設けましょう。

  • 食事

緑黄色野菜や果物を食べることが良いとされています。

厚生労働省策定の「健康日本21」では1日当たり野菜350g(小鉢5杯分)果物1皿を摂取目標にしています。バランス良く食事をしましょう。

熱い飲み物や食べ物をそのまま飲み込むと食道粘膜を傷つけるので冷まして口にしましょう。

油もの甘いもの摂取などで体重が増え胃酸の逆流が多くなると逆流性食道炎が発生しやすくなります。日本ではバレット食道がんとの関連性は明確ではありませんが、食生活を見直すことは大切であると考えます。

 

食道がんは食道内に多発したり、他の部位のがんを併発することも多いといわれています。定期的ながん検診と予防が重要です。

食道がん早期発見のために内視鏡検査を受けて、予防のために禁煙とアルコールを控えましょう。