フレイルとサルコペニア及び心臓リハビリテーションについて

当財団の設立趣旨であるフレイル予防に関連して昨年心臓リハビリテーションに関するセミナーに参加いたしました。

改めて、日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会合同による「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン・2021年改訂版」から学ばせていただきました。

フレイルとは厚生労働科学特別研究報告書にて

「加齢とともに、心身の活力(運動機能や認知機能など)が低下し、複数の慢性疾患併存の影響もあり生活機能が障害され心身の脆弱化が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活維持機能の向上が可能な状態像」と説明されています。
従ってフレイルの早期発見・早期介入が重要です。

サルコペニアとは老化に伴う身体活動度の低下や低栄養(低カロリー・低タンパク質)に種々の疾患が加わって骨格筋量が減少し全身の身体機能が低下した状態です。

サルコペニアの評価には骨格筋量と機能(筋力や歩行速度など)を組み合わせて行います。

  1. 下腿周囲長:男性< 34cm、女性< 33㎝
  2. 筋力   :握力 男性<  28kg 女性< 18kg
  3. 身体機能 :5回椅子立ち上がりテスト≧ 12秒、6m歩行< 1.0 m/s

      *Asian Working Group for Sarcopeniaによるサルコペニア診断(Chen LK, et al. 2020より)

フレイルは、身体的要因にうつ状態や認知機能低下などの精神・心理的要因と孤独、閉じこもりなどの社会的要因などを含む状態です。
予防には以下のように多職種による地域包括的なアプローチが必須と考えられます。

1)運動療法には理学療法士、作業療法士、健康運動指導士

2)食事療法には管理栄養士

3)服薬指導には薬剤師

4)ストレス管理には精神科医、臨床心理士

5)施設や在宅でのケアには訪問看護師

6)トータルなケアプラン作成やコーディネートにはケアマネジャー

様々な心血管疾患(狭心症、心筋梗塞、不整脈、心臓弁膜症など)に伴う心不全は高齢化が急速に進む中急増してきており、罹患後入院中のみならず退院後の心臓リハビリテーションが重要になってきています。

詳細については日本循環器学会、日本心臓リハビリテーション学会のホームページをご参照していただけると幸いです。